「epe | nylon」というブランド名の中に、どこか見覚えのある響きを感じた方もいらっしゃるかもしれません。実はこのナイロンラインには前身があります。ベジタブルタンニンレザーを使用したレザーバッグブランド「epe」(epe-shop.jp)です。Journal第一回となる今回は、本革のepeとナイロンのepeの関係、そして私たちがなぜ新たにナイロンでのものづくりを始めたのかについてお話しします。
本革のepeが掲げているのは、「Life with ethical mind(エシカルな心と共にある暮らし)」というコンセプトです。「『未来にいい』を、手に持とう。」というメッセージのもと、大きく2つの取り組みを大切にしてきました。ひとつは環境保全です。本革の多くは「クロムなめし」という化学薬品を使う製法で作られており、その排水が河川を汚染することが世界的な問題になっています。epeでは、自然由来の植物性タンニンを使う「植物タンニンなめし」を採用することで、この課題に向き合ってきました。もうひとつは、生産国での継続的な適正価格での生産依頼を通じた、雇用創出への貢献です。あわせて、工場との直接契約とEC直販によって、本格的なベジタブルタンニンレザーを、初めて本革のバッグを持つ方にも手が届く価格でお届けすることにもこだわってきました。

おかげさまで、こうした本革のepeは多くのお客様に選んでいただけるブランドへと育ちました。その広がりの中で見えてきたのが、「本革という選択肢を、そもそも持たない方々」の存在です。特に若い世代を中心に、本革という素材自体を選ばない、あるいは選択肢として持たないという方が一定数いらっしゃいます。epeが大切にしてきた価値観に共感していただける可能性がある一方で、本革という入り口だけでは、その方々に届けることができません。この課題こそが、ナイロンライン誕生の直接のきっかけです。
素材として選んだのは、CORDURA糸とリサイクルPET糸から作られるサステナブルナイロン「CORDURA® RE/COR™」でした。本革のepeが植物性タンニンによって環境負荷を抑えているように、ナイロンのepeもまた再生素材によって同じ方向を向いています。なめしの方法も、糸の種類もまったく違う話に聞こえるかもしれませんが、「使う人にとっても、地球にとっても、無理のない選択をする」という一貫した姿勢は、そのまま受け継いでいます。
伝え方は、本革ラインとは意図的に変えています。「Life with ethical mind」というエシカルな暮らし方を軸にする本革のepeに対し、ナイロンのepeでは「都市を生きる一日をどれだけ機動的に過ごせるか」を軸に据えました。「ハイスペックを、再定義する。」という言葉を掲げているのはそのためです。素材もメッセージの届け方も異なりますが、「本当に必要なものだけを選び、長く大切に使う」という根っこの部分は、どちらのepeにも共通しています。
製作・販売を手がけるのは、千葉県茂原市の株式会社サンペイ鞄店です。小さな会社ではありますが、創業60年を超える老舗の鞄屋として、一つひとつの商品に対して、お客様の声を直接聞きながら向き合ってきた歴史があります。
epe | nylonでは現在、DAY PACK(デイパック)、SQUARE BACKPACK(スクエアバックパック)、TOTE BAG(トートバッグ)、BOX SHOULDER(ボックスショルダー)、ROUND SHOULDER(ラウンドショルダー)の5アイテムを展開しています。それぞれのアイテムに込めた設計意図についても、このJournalで少しずつご紹介していく予定です。
本革のepeから、ナイロンのepeへ。素材もメッセージも変わりましたが、大切にしたい価値観は変わりません。これまで本革という選択肢を持たなかった方の日常にも、静かに寄り添える存在になれれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。